突然、激しい不安に襲われ、胸がドキドキしたり、息が苦しくなったり、めまいがしたりする発作を「パニック発作(急性不安発作)」といいます。このような発作が繰り返し起こる病気がパニック障害です。
パニック障害は大変ポピュラーな病気で、生涯に一度でもかかる方が一般人口の2~8%にも達すると言われています。また最初からパニック障害を疑って医療機関に受診される方は少なく、突発性の心悸亢進・息苦しさ・胸の痛み・吐き気などがみられるため、カラダの不調と考えて内科を初めとする一般科を受診することが多いようです。加えて医療機関を受診しても、以前用いられていた診断名である過喚起症候群・心臓神経症・不安神経症などの病名がついてしまい、パニック障害に対する最新の有効な治療が行われない場合もあるようです。
他の病気同様、パニック障害も早期発見・早期治療が非常に大切です。治療の開始が遅れるとパニック障害が重症化することがありますし、うつ病を併発してしまう場合も少なくありません。
自律神経性過活動(呼吸促迫、動悸や頻脈、めまい、吐き気、発汗、口渇、震え、しびれなど)により起こるものと思われます。経験は生々しさの故に次また同じ事が起こったらと連想してしまいがちです。これを予期不安といいます。予期不安のやっかいなところは、連想そのものが次の不安や動悸などを呼び起こし易い事です。したがって、人混みや閉鎖された場所や乗り物などの逃げ場のない場所が、どうしても苦手になり易いです。
治療のコツは、パニック発作を起こさせない実績作りが大切です。その為には、抗不安剤の予防的服薬やステップ式の行動療法が大事です。最近の薬物療法では、SSRIを主剤として抗不安薬も必要に応じ併用する療法が良好との印象です。実績作りの期間は、およそ3か月から6か月ぐらいとみていますが個人差が多く一概にはいえません。
パニック障害の自己診断をしてみませんか?
パニック障害セルフチェック表 (PDF:14KB)
1 | 悸亢進、心臓がドキドキする、または心拍数が増加する |
2 | 発汗 |
3 | 身震い、手足の震え |
4 | 呼吸が速くなる、息苦しい |
5 | 息がつまる |
6 | 胸の痛みまたは不快感 |
7 | 吐き気、腹部のいやな感じ |
8 | めまい、不安定感、頭が軽くなる、ボンヤリする |
9 | 非現実感、自分が自分でない感じ |
10 | 常軌を逸してしまう、狂ってしまうのではないかと恐れる |
11 | 死ぬのではないかと恐れる |
12 | 知覚異常(しびれ感、うずき感) |
13 | 寒気またはほてり |
以上の多くの症状が「ほとんど毎日、一日中」あって、それが2週間以上続いているとうつ病の可能性があります。特に、項目の1または2(あるいは1と2の両方)に当てはまって、その他の症状(3~14まで)の半数以上が該当する場合には、ぜひご相談なさることをおすすめいたします。
1 | 上記Aの症状のいくつかが、ほぼ同時に現れる現象(パニック発作)が繰り返し生じている |
2 | 「またパニック発作が起きるのではないか?」という心配(予期不安)がある |
3 | パニック発作を経験してから、外出や乗り物に乗ることなどが苦手になった(広場恐怖) |
上記のAの13項目のうち4項目以上が当てはまり、さらにBにも当てはまる項目がある場合には、パニック障害の可能性が考えられます。